迷子になるな!

自動車チューニングの世界はある意味無法地帯だ。
レースにはキチンとしたレギュレーションがあって改造範囲も制限されてる。でもチューニングには明確なルールは無く、誰もが好き勝手に出来る魅力的で果てしなく広い世界。

しかし闇雲に「速さ」を追いかけ、ルールの無いチューニングの世界で迷子になると、結局ドコも走れない(公道にもサーキットにもルールがあるからだ)クルマになってしまったり、乗り手のスキルを大きく飛び越えたり、バランスが崩れ乗り難く遅いクルマになってしまったりと、イジる行為そのものが無意味になってしまう事も少なくない。

また筆者を含め多くの人が際限無くクルマに投資するのは無理がある。
だからこそ、果てしなく広い世界で迷子にならないように、キチンと方向性を見出す事が大事なのだ。

では、マーチを「速く」したい・・・その速さとはいったい何だろう?

NON団が提案するひとつの方向性は、日常の足としてドコへでも気軽に乗って行ける事を最低限の条件として、サーキットで気持ち良く安全に走れる性能をコストパフォーマンスに優れたパーツや手法によって引き出してやる事だ。

軸になるのはタイヤ

タイヤは高価な消耗パーツであるが、他の部分を如何に性能向上させてもタイヤが路面を掴まなければ無用の長物なのだ。タイヤが一番重要、これはマーチに限った事じゃない。
ドライビングスタイルでタイヤサイズ・銘柄をチョイス、それを軸に足回りやボディのセットアップを行う、ブレーキ性能もタイヤのパフォーマンスに大きく左右される、エンジンの出力向上も絶対的にタイヤがグリップする事で真価が発揮されるのだ。

もしコレを読んでいるキミが、これからK12マーチを「速く」したいと思っているなら・・・

常に自分のドライビングと全体のバランスを意識して、タイヤを選ぶ・セットアップする→サスペンションを選ぶ・セットアップする→ボディをセットアップする→パワーアップ系に足を踏み入れてみる、と言った順を辿っていくと最小限の投資で最大限の効果が得られると・・・断言しよう。

特別仕様

K12マーチを語る上で12SRというグレードは外せない。日産純正カスタマイズ車両を手掛けるオーテック社が渾身のチューニングで世に送り出したホットモデルだ。
専用のサスペンション、強化ボディ、専用エンジンチューンを施し、販売当時最強のハイグリップタイヤ、BSポテンザRE01-Rを標準装備しディーラーで購入後即サーキット走行OKというホットモデルが存在する。ノーマルでも高い戦闘力は今も色褪せないが、より高みを目指すキレてるキミにもNON団流チューニングは大いに参考になるはずだ!?

街乗りグレード

ホットモデルにあらず・・・12Cや12Sに代表されるオシャレな普及グレード、メカニカルな部分は1.0L/1.2L/1.4L/1.5L(海外仕様では1.6Lも)のエンジン、ミッションも4AT/CVT/5MT、駆動方式は基本FF、電動モーターで後輪駆動するe-4WDも存在しバリエーションは豊富だ。
1.5Lエンジン搭載車は15SR、12SRと同じシャシーだかミッションはCVTのみ。エンジンはトルキーでキャラクターとしてはサーキットでより速く!というよりは余裕のトルクでスイスイ気持ち良く走るイメージ。
では12SR以外はスポーツ走行とは無縁か?と言うと、そんな事は無い!むしろヤリ方次第で12SRを凌ぐ可能性を秘めているのだ!ちなみにNON団最速のK12は、12Cだ。

ワインディング

あまり野暮な事は言いたくないが、ワインディングも公道なのだ!目を三角にして「攻める」べき所ではない。自分だけならまだしも他人の人生をも巻き込む危険性がある。もっともクルマ好きな人なら曲りくねる道やあの雰囲気に気持ちも盛り上がるだろう、それは良くわかる。クルマと対話し楽しく気持ちよく流すドライブは最高に気持ちが良い。
しかし断言しよう、ワインディングを楽しく気持ちよく流す為だけならNON団流の「チューニング」はまったく不要だ!
少しだけ窓を開けて外の空気を感じながら、気持ちに余裕を持ってのんびりと走って欲しい。そういうクルマの楽しみ方もまたNON団流だったりするのだ。

サーキット

サーキットは安全。では無い。
それこそクルマの限界、ドライバーの限界まで攻めれるサーキット。ひっくり返せば限界の先には大きなリスクが潜んでいると言うことだ。流石に対向車が走ってくる事はマズ無いが、他車への注意・配慮は怠ってはいけない。自身の安全を確保するためにもある意味公道以上に気を配る必要があるのだ。
しかし思いきり疾走出来る喜びは決して公道では得られない満足感と陶酔感があり、その先には様々なチャレンジングな世界が開ける。
1/1000秒を競うのはライバルとだけではない、己自身との闘いもまたハッキリと存在する。
ドライビングスキルに磨きをかけ、愛機を手足のように自在に動かせるように鍛錬し、また、操作に忠実に反応するクルマを仕上げる・・・そんな喜びも限界走行で見えてくる。サーキットでこそ昇華する魅力のひとつだ。